池井戸潤さんの 『7つの会議』。
こちら、ねじの品質偽装によって、会社として組織として一課長がどのように対応するか?隠ぺいするのか?素直に公表するのか?という駆け引きが面白かったのですが、わたしもサラリーマン経験の中で、似たような経験があります。わたしの経験は偽装など社会的問題ではなく、社内の問題でした。
目次
転職直後に発覚した前任者の不正
転職してすぐの会社で、帳簿の改ざんが発覚。前任からの引継が完了した直後のはなしでした。わたしはその帳簿を正しいものにすべく普通の全うなやり方で、改ざんを修正していきました。
社内委員会が開かれ、どうしてこのような事が起きたか、誰が主導したかなどなど、転職してすぐのわたしに激しいヒアリングの嵐。そして幹部からの呼び出しで、こう言われました。
『こんな四半期の間で、これだけの損失が出るのは初めてだ!いったいどう責任をとってくれる!』
会社でキレる事などほぼないわたしですが、さすがにこの幹部のコメントにキレて、
『こっちは入社したばかりなんです!当たり前の事を当たり前にやってこなかった、あなたが悪い!』
半沢直樹レベルの啖呵を切ったのは、これがサラリーマン人生で最初で最後。そしてわたしは入社3か月目ですぐ転職活動を開始し、こんな会社は辞める!と決断したその時、他部署から社長へ告発が行われました。他部署もずっとおかしいと思ってはいたものの、なかなか切り出せなかった。でも、わたしのこの状態を見て、援護射撃をしてくれたのです。
幹部の処遇は?
この援護射撃の結果、幹部が窮地に追い込まれることになります。幹部をクビにするかどうか、社内委員会が開かれました。入社直後なわたしが、最終的にはある幹部の方をクビにするかどうか、わたしの言葉ひとつで決まるというところまで行きました。で、わたしが委員会でこう証言しました。
『この幹部は、帳簿改ざんを主導していません』
結局幹部は救われました。この時どうしてこう証言したかというと、くやしいかなこの幹部が、仕事ができる方でした。この方がいなくなったら、会社に与える損失は相当でかいとそう判断しました。究極に幹部が憎かったんですが、最後の最後で急に冷静になれた自分がそこにいました。
『会社にとってもっともプラスになる行動をとろう』 と。
憎いという感情に流されず、よくそんな決断ができたなぁ~ 今でも不思議でなりません。
最終的にはこうなった
結局、この多額の損失を1年近く計上。そのせいで、一般社員がリストラに合いました。ボーナスもカットされました。幹部を守ったら一般社員がリストラにあうという、とてもつらい出来事でした。幹部は他部署に飛ばされて、干されたんですがそれでもきっちり会社に残り、最終的には仕事で会社に貢献中です。
正義感を持って突き進むことは、社会的にも自分自身に対しても誇れること。周りの人もその行動に対して応援してくれる。でも、その正義感で犠牲になる会社や同僚、上司や部下もいる。きっと内部告発をする人というのは、この2つの想いの間で揺れ動いた結果、最後には”正義感”を選択したんだろうと。内部告発する人の気持ちが分かった一件でした。
20年近いサラリーマンでこの経験は、最もつらい出来事であり、最も達成感のあった仕事でした。
わたしが最もお世話になった転職エージェント→ リクルートエージェント
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