経済・環境ジャーナリストの石井孝明さんが書いた『奴隷はなぜ逃げないのか-SMAP独立騒動から』。この記事がサラリーマン社会を本当にうまく表しているので、自分の意見を加えながら詳しく見ていきます。
まず、SMAPが「奴隷」と状況が似ている(誹謗してない)という話から始まります。
SMAPは10代から芸能活動をジャニーズ事務所で行い、他の世界を知らない。仕事を干される恐怖をちらつかせながら、名声、給料の優遇などの利益を事務所は与えた。「独立する」という選択肢は、かつての奴隷と同じように大変な冒険となる。「アメとムチ」は、奴隷制度の時から人事管理の鉄則だ。もちろんSMAPと事務所の関係の詳細は知らないが、数千年前からの「奴隷」と「所有者」の関係と似た状況が生まれていたのかもしれない。古代・中世的な変な世界ではよくありがちだ。
引用元:http://agora-web.jp/archives/1667223.html
この話は、大企業に勤め転職経験が一度もなく、30代後半~40代を迎えた人とよく似ています。SMAPの年齢とも合致して、まさに「SMAP状態」。転職業界の隠語になり得るんじゃないかと思うぐらい、サラリーマン社会と合致しています。あのSMAPが!というのも、どこかで聞いたフレーズです。あの東芝が!あのシャープが!何度となく大企業を襲うリストラとも、どこか似ています。
この奴隷状態からどう抜け出すかについては、こう書いてあります。
SMAPの人々に教育がないとは思わない。どの人も歌、俳優業にぬきんでて、しっかりした人々だ。しかし「相手と戦う」「交渉する」という世間知、情報戦は海千山千の芸能事務所社長の方が秀でていたのだろう。戦うにはまず情報を集め、また対応策を知り、対策を打つことが必要だ。
引用元:http://agora-web.jp/archives/1667223.html
個の力があっても、そのフィールドでのルールに従わないと輝けない。そのルールを牛耳っている人が身近にいて、身動きが取れないという特殊要因がSMAPにはあります。サラリーマンは逆に個の力が足りないので、外に一歩踏み出せない・・・逆SMAP状態です。
そして最後にサラリーマン社会について、ずばり言及されています。
日本社会にも笑えない面がある。日本のサラリーマンの統計を取ると、かなり多くの人が他の欧米諸国と違って、「今の仕事が好きではない」「会社を辞めたい」というそうだ。SMAPのように独立願望を持ちながら、それがなかなか実現しない。この一因は雇用が流動化しないためだ。かつての奴隷たちがそうだったように一度入った企業に勤め続ける「自由を求めて立ち上がるよりも、今の状況がましだ」という状況が作られている。日本の雇用制度が政府と企業、社会体制の集合的な意識の中で、雇用を固定化した形になっている。
引用元:http://agora-web.jp/archives/1667223.html
「今の状況がまし」というコトバが、すごく怖いです。
芸能界においては、事務所を独立すると急に仕事がなくなり干されるという例をよく見かけます。転職市場においては、同じ業界内でウワサが広がることはあります。圧力もあったりしますが、ジャニーズ程ではないでしょう。
SMAP騒動がこれだけサラリーマン社会と比喩されまくっている現状を見ると、やはりSMAPに自分の姿を重ね合わせているサラリーマンがたくさんいるということだと思います。SMAPの謝罪を見て、どこか奥歯にものが挟まったような物言いだと感じ、その窮屈さが自分の会社での働き方に重ね合わせているから、これだけ反響が大きいんだと思います。
石井さんがこの記事を書いた結果、「奴隷のしつけ方」という本が飛ぶように売れ始めているそうです。Amazonではベストセラーになっています。
わたしが最もお世話になった転職エージェント→ リクルートエージェント
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