わたしは、上司として辞表を受け取ったことがありますが、部下のスタンスによって「引き止め」の方法を使い分けていました。また、2つの顔を持って、対応していました。
- 上司という立場を忘れて、ひとりの人間としてその人のために向き合う
- 会社の立場で、上層部や残された同僚のことを考えながら、辞表を受け取る
会社を辞めようとしている人は、数ヶ月後には赤の他人になる可能性が高いです。なので、自分の未来に向かって歩き出している人と、ひたすら未来についてだけ語るという場を作るのが1です。会社に対しての不満を上司側も言ったりしますし、本当に腹を割って話す場を作りました。
しかし、ずっとホンネだけで話すわけにもいかず、会社の立場もあります。冒頭に書いた部下のスタンスの違いとは「相談ベース」なのか「決定ベース」なのかです。どういう引き止めをしていたか、上司としてのホンネを書きます。
相談ベース:転職・退社の相談ならば、絶対に引き止める
その部下は「会社を辞めるかどうか迷っている」状態なので、絶対に引き止めます。辞めて欲しくない人の場合は、全力で引き止めます。たとえ、辞めて欲しいなぁと内心思っている部下であっても、残留が決定したときの「モチベーション維持」のために、とりあえず引き止めます。「辞めないでほしい、必要としている」というアピールは、その先の強いモチベーションにつながるからです。
相談する部下側も、辞めたい気持ちもあるけど、辞めたくない気持ちもある という状態で相談に来ているので、現状に対する不満を聞き出します。こういう話し合いをしたあとは、モチベーションがアップして、仕事に前向きに取り組んでくれます。
相談される上司ということは、部下から多少は信頼があるということにもなるので、上司としてもうれしいです。相談ベースで来てくれてうれしい、あなたのモチベーションを保つように話を聞きます、こんな上司のホンネがあります。
決定ベース:強い決意で辞表を持ってきた場合も、とりあえず引き止める
次の転職先が決定していて、辞表を持ってくる場合、その部下の決意は固いと考えます。面談したところで、正直覆す自信もないのですが、今までやってきた労をねぎらう意味でも「残るという選択肢はない?もうちょっと頑張ってみない?」とは、一応言います。また、数%の残留の可能性があるかどうかを探る意味でも、とりあえず引き止めのコトバを言います。
この引き止めには、もうひとつ「延長」への布石という意味もあります。とりあえず引き止めのコトバをかけ、やはり転職することが決まったとします。もし、「辞表預かりました、おつかれさん」なんて言ったら、「わたしは必要とされてなかったんだ、すぐこんな会社辞めよう」ということになってしまいます。
だいたいの場合、辞表は青天の霹靂であり、その業務が自分自身や同僚に降りかかることは間違いありません。業務分担の見直しや引継ぎなど、とにかく時間を稼ぎたいのです。だから、引き止めのコトバが必要なわけで、辞める決意が固い人に対しても言います。
どっちにしろ、結局は引き止めます。ちなみにわたしは、相談したことは一度もありません。
わたしが最もお世話になった転職エージェント→ リクルートエージェント
コメントを残す